COLUMN
2020/4/10
その他
『ことわざ』とは、毎日の生活の中で役立つ様々な知識を助けてくれる言葉であり、1つの文で人としての教えや戒めを説いたものです。
皆さんはご存じでしょうか?ことわざには『歯』に関するものがたくさんあることを。
私たちは毎日の生活の中で、話す・食べるなどで必ず歯を使っています。
『ことわざ』も『歯』も私たちの生活の身近にあるということです。
奥歯にものがはさまる
思ったこと・言いたいことををそのまま言わず、何かを隠しているような言い方をすることのたとえ
奥歯の歯と歯の間にものがはさまると、発音が不明瞭になるという意味です
例文 『自分は奥歯にもののはさまったような兄の説明を聞いて、畢竟それがどうしたのだという気を起こした(夏目漱石の「行人」より)』
歯に衣着せず
思ったこと・言いたいことを、言葉を飾らず率直に述べることのたとえ
歯に衣を着せるということは、歯を隠すことのたとえです。歯を隠そうとすると口を紡ぐことになり、はっきりとしゃべることができません。歯を隠さないことが率直な意見につながるということです
例文 『付き合いが長くなると、お互い歯に衣着せぬ軽口を言い合えるようになる』
歯が立たない
自分の技量をはるかに超えていて自分の力ではどうしても対応できないということのたとえ
元々は、固すぎて噛むことができないという意味でしたが、それが由来となって、自分の力では手に負えないということわざにつながりました
例文 『犬の歯は肉よりも骨を噛むに適している。狂う神の作った犬には狂った道具が具わっている。今日の振舞を予期して工夫してくれた歯じゃ。鳴らせ鳴らせと牙を鳴らして骨にかかる。ある者はくじいて髄を吸い、ある者は砕いて地に塗まみる。歯の立たぬ者は横にこいて牙を磨ぐ(夏目漱石の「趣味の遺伝」より)』
歯が浮く
軽薄な言動により不快な気持ちを感じることのたとえ
元々は、すっぱいものを食べたり不快な音を聞いたりした時に、歯の根元が緩むように感じることを意味していましたが、それが由来となって、お世辞や気障なセリフを聞いて気持ち悪いと感じた時に似たような不快感を覚えるので、歯が浮くということわざにつながりました
例文 『私の慰問の手紙は、実に、下手くそなのである。嘘ばかり書いている。自分ながら呆れるほど、歯の浮くような、いやらしいお世辞なども書くのである(太宰治の「鴎」より)』
歯の根が合わない
寒さや恐ろしさによりひどく震えることのたとえ
人は厳しい寒さや声も出せないほどの恐怖を感じたとき、ガタガタと震え歯を噛みしめることができなくなります。それが由来のことわざです
例文 『雪景色をみようと外に出てみたが、歯の根も合わないほどの寒さでした』
歯牙にもかけない
議論の対象にしない、相手にしないということのたとえ
歯牙とは言葉や口先を意味しています。つまり言葉や口先で論じるまでもなく、問題視せずに全く相手にしないということです
例文 『曾ての同輩は既に遥か高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才李徴の自尊心を如何に傷けたかは、想像に難くない(中島敦の「山月記」より)』
いかかでしたか?先ほどお伝えしたのはほんの一部です。
まだまだたくさんある『歯』にまつわることわざは、私たちの生活に結びついています。
『歯』のことわざの意味や由来を知り、みなさんあらためて歯の健康について考えてみましょう。