COLUMN
2019/10/18
歯の基礎知識
「舌の役割は?」と尋ねられたら、皆さんは何と答えるでしょう。
「味を感じること」と、答える方が多いかもしれません。
しかし、舌の役割はそれだけではありません。
味覚
舌の表面には味蕾(みらい)と呼ばれる、味覚を感じるセンサーがあります。
味蕾は味細胞の集まりで、甘味・苦味・塩味・酸味などを感じることができます。これらの味が複雑に混じり合い、人は“おいしさ”を楽しむことができます。
味蕾は頬の内側や唇にもありますが、大部分が舌にあります。
味蕾の数は乳幼児で約1万個、成人になるにつれて約7500個まで減少すると言われています。
咀嚼と嚥下
食べ物を咀嚼する時、舌は食べ物を歯と歯の間に移動させ、歯で食ベ物を噛み砕く時には舌で食べ物を固定します。そしてかみ砕かれた食べ物を集め、反対側の歯に食べ物を移動させ、再度咀嚼させます。
食べ物が飲み込めるほど十分細かくなると、舌は食べ物を集めて咽頭に送り込みます。咽頭から食道へ食べ物を送り込むために、舌で押し込む筋力が必要になります。
咀嚼・嚥下をしやすくするために、食べ物と唾液を混ぜ合わせるのも舌の役割です。
しかし舌の機能が低下すると、食べ物が上手に食べれなくなってしまいます。これが咀嚼・嚥下機能障害です。
発音
私たちが発する言葉にも舌の存在は欠かせません。
言葉の発声は、肺から押し出される空気が声道を通るとき、普段は開いている声帯が狭まることにより空気が振動し、口の中の共鳴によって様々な音に変化させてつくられます。この時、舌は柔軟に動き、異なった音を発する手助けをしています。
歯並び
舌の存在はきれいな歯の並びにもかかわってきます。
歯を内側から支える舌が左右どちらかに偏っていたり、特定の歯を押すなどの癖(舌癖)があると、歯並びが乱れてしまいます。
このように舌は、味わう・食べる・話すといった人が生活するうえで重要な器官です。毎日の生活を楽しむためにも、常に健康でいたいものです。
舌は自分でもチェックしやすいので、何か違和感や気になる点がありましたら、早めの受診をおすすめします。