COLUMN
2019/5/31
歯周病
糖尿病について
日本における糖尿病患者数は、糖尿病予備軍の方を含めて約20000万人以上いると推測されています。この数は成人の約20%にあたります。
糖尿病は発症のメカニズムによって、Ⅰ型とⅡ型に分類されます。
Ⅰ型糖尿病の特徴:糖尿病患者のうち約5%がⅠ型
若年性でやせ型が多い
Ⅱ型糖尿病の特徴:糖尿病患者のうち約95%がⅡ型
中年以降の発症で肥満型が多い
肥満・アルコール・ストレス・加齢などが原因で発症しやすい。
糖尿病の発症
ごはんやパンなどの炭水化物を食べると、胃や小腸で消化・吸収され、ブドウ糖となって血液中に入ります。そして血液中のブドウ糖の量が高くなると、すい臓から分泌されるインスリンの働きによってエネルギーに変わり、血糖値は正常な値にコントロールされます。しかし、 インスリンの働きが低下し、体内に取り入れられた栄養素がうまく利用されずに、血液中のブトウ糖が多くなることがあります。これが糖尿病の始まりです。
糖尿病を理解するために、金平糖をイメージすると分かりやすいでしょう。糖尿病患者は、血液中にこの金平糖がたくさん流れていると考えます。つまり高血糖状態は、ギザギザの金平糖が血管内にぎっしりあり、これらが周囲の血管壁を傷つけることで、動脈硬化やプラークの形成を行う状態といえます。
初期では自覚症状はほとんどありませんが、高血糖状態が続くと、全身の血管が痛めつけられ、さまざまな合併症を引き起こします。主な合併症は、網膜症・腎症・神経障害で、これらは糖尿病の3大合併症と言われています。
糖尿病と歯周病
歯周病は以前から糖尿病の合併症だといわれてきましたが、さらに最近では歯周病が糖尿病を悪化させるということが明らかになってきました。
歯周病菌が炎症を起こした歯茎から血管内に入り、血糖値をコントロールするインスリンというホルモンの働きを抑制するため、糖尿病が悪化します。その影響で体の抵抗力が弱まり、歯周病もさらに悪化します。しかし、歯周病治療を行うことで、インスリンの働きが改善することが最近になって分かってきたため、糖尿病のコントロールに歯周治療が重要であることが、認識されてきました。
また、糖尿病による高血糖状態が続くと、体の抵抗力が低下して、感染症にかかりやすくなると言われています。つまり細菌による感染である歯周病も同じであり、糖尿病の方は健康な方に比べて歯周病にかかるリスクが高いということです。
糖尿病は歯周病を進行させ、歯周病は糖尿病を悪化させます。
糖尿病の改善には、血糖値のコントロールだけでは不十分なため、歯周病の治療も必要です。
糖尿病と歯周病を改善するために、血糖値のコントロールに加えて、口腔衛生環境の改善が必要です。痛みが出る前に、自覚症状が出る前に、歯科医院で見てもらいましょう。