COLUMN
2019/4/5
歯周病
認知症とは、何らかの病気によって脳の神経細胞が破壊され起こる症状や状態をいいます。
脳の老化による物忘れではありません。
脳の老化による物忘れは、症状の進行はあまり見られず、忘れやすいことを自覚しており、忘れたことがあったとしても、ヒントがあれば思い出せます。
しかし、認知症は徐々に進行し、自覚もなく、ヒントがあっても思い出すことができません。
そして認知症が進行すると、徐々に理解力や判断力がなくなり、日常生活に支障が出てくるようになります。
認知症のうち、全体の50%はアルツハイマー型認知症です。レビー小体型認知症は20%、血管性認知症は15%と続きます。これらは「三大認知症」といわれ、全体の約85%を占めています。
アルツハイマー型認知症では、脳の神経細胞が減少する、脳の中で記憶を司る「海馬」を中心に脳全体が萎縮する、脳に「老人斑」というシミが広がる、脳の神経細胞に糸くず状の「神経原線維変化」が見つかるといった変化が現れることがわかっています。
アルツハイマー型認知症と歯周病の関係
なぜ口腔の病気である歯周病と、脳の病気である認知症が関係しているのかと疑問に思う方が多いでしょうが、認知症に関する研究は近年急速に進んでおり、
歯周病菌の一つがアルツハイマー型認知症と関係しているのではないか・・・
と言われるようになりました。
学術誌・Science Advancesに掲載された論文によると・・・
慢性歯周病の原因であるP. gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)という菌がアルツハイマー型認知症患者の脳内(上記で説明した「老人班」というシミの周り)から検出されたそうです。
このような関連性があることの正確なメカニズムはまだ見つかっていないということですが、この結果をもとに、神経細胞を破壊する働きを抑え、歯周病菌が口から脳へ入り込むのを防ぐ歯周病抗菌薬の研究がすでに進められています。
今後の研究の成果しだいで、認知症の治療薬が完成するかもしれません。